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中将棋の進化について(8)          三島のトド

 この内容は、ギャンブリング&ゲーミング学会誌第2号(2005.9)に発表したものに基づいているが、一部修正を加えた。

8、 駒の変遷と交流について
 偶数路盤と奇数路盤の将棋が並存していたとしても、近縁のゲームであるとは認識されていたであろう。その場合、どちらかで起きた改良は、ゲームの本質に影響を与えない限り、もう一方に影響を与えた可能性が高い。特に、双方で大型化が進む段階では、自系統にない駒を他系統から借用してくることは、十分に可能性がある。但し、進化の過程で、新たな駒との兼ね合いで動きがある程度変化した可能性も考えられる。例えば、平安大将棋の飛龍は現行将棋の角行と同じ動きとされているが、現行大将棋の飛龍は斜め4方に2目しか動けない。これは、角行が新たに配置されたために、飛龍の動きが斜めという特徴を残しながら弱められたと考えることが出来る。
 平安大将棋では、横行・猛虎(盲虎)・飛龍・奔車(反車)・銅将・鉄将・注人(仲人)が新たに配置されている。()内は相当すると考えられる中将棋の駒である。飛龍・鉄将は中将棋にはない。二中歴の駒の動き方を読むと、奔車・注人は中将棋・現行大将棋と同じであるが、横行・猛虎・銅将は中将棋・現行大将棋と異なっており、飛龍・鉄将は現行大将棋と異なっている。おそらく、大型化の過程で、いろいろな試行が行われ、同じ名称の駒に異なった動きが付与されてきた と思われる。特に、同種・類似の駒が作成・導入された場合には、それとの兼ね合いで、動きが変化してきたと考えられる。例えば、横行については、平安大将棋では後ろに下がれないが、中将棋では一マス下がれる。中将棋成立の過程で、横行の対称型としての竪行が作成された時、竪行が左右どちらにも一マス動けるようにしたことから、後ろに一マス動けるようになったのではないだろうか(竪行の動きを左右どちらかに限定する理由がなかった。)。鉄将についても、平安大将棋では周囲8マスの内、5箇所に行けることになっており、銅将の前後左右4箇所を上回っている。現行大将棋に至って、金将・銀将・銅将・鉄将・石将の序列が出来、それぞれ6・5・4・3・2箇所に行けるように整理されたと考えられる(銅将の動き方は変化している。)。象戯六種之図式等に記載されている将棋類については、こうした整理過程を経たものであると考えられ、これらの資料に基づく現行大将棋は中将棋等からの影響・類推を受けている可能性はある。平安大将棋の時点では、こうした大型化の試行過程途上であり、整理は受けていないが、逆に、他の種類の大将棋が存在した(少なくとも、駒の名称や動き方について)可能性は大きいと思われる。
 現行大将棋と中将棋の初期配置を検討してみると、獅子・奔王と麒麟・鳳凰の位置が異なっているのに気づく。中将棋では、獅子の下に麒麟、奔王の下に鳳凰であり、成駒と成る前の駒が上下に並ぶという対称性がある。しかし、現行大将棋の配置では、奇数路盤の中心に奔王と獅子が上下に並ぶため、対称性が破れている。中将棋の駒を奇数路盤に導入したために起きたものであろうと考えられる。
 中将棋の駒の起源を分析してみると、いくつかの系統に分かれることがわかる。例えば、仲人は平安大将棋の注人であり、反車は平安大将棋の奔車と同じで、香車から発展したと考えられる。盲虎については、平安大将棋に猛虎という駒があるが、動きは異なっている。上述したように、竪行は平安大将棋の横行の対称型として生まれたものと考えられるし、銅将は、金将・銀将からの流れであろう。竜王・龍馬は飛車・角行の成駒から派生したものであろうし、麒麟・鳳凰は獅子・奔王に成る駒として出来たものであろう。角行については、平安大将棋の飛龍に由来すると考えられる。飛車・奔王については、はっきりした起源は不明であるが、チェス・マークルック等に見られるルーク・クイーンの動きがどこかの時点で取り入れられた可能性もあるかもしれない。
 これ以外の駒として、中将棋には獅子・酔象・猛豹の駒がある。次節において、これらの駒の起源について考えてみたい。(続く)
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平安大将棋の駒の動き

私は、平安大将棋についての二中歴の記述に疑問を持っています。全文を載せます。

又大将棊十三間云  玉将各住一方中
金将在脇  銀将在金之次  次有銀将  次有銅将  次有鐡将  次有香車
銅将不行四隅  鐡将不行後三方
又横行在王之頂方  行前一歩左右不云多少
又有猛虎在銀之頂  行四角一歩
飛龍在桂馬之上  行四隅超越
奔車在香車之頂  行前後不云多少
注人在中心歩兵之頂  行前後
必是一方必此行方准之

桂馬の配置が脱落しています。文字数も不揃いで信用度が低いと思います。

①平安大将棋の飛龍は現行将棋の角行と同じ動きとされているが、現行大将棋の飛龍は斜め4方に2目しか動けない。

私は、飛龍の動きは斜め四方に2目だと思います。
二中歴の「行四隅超越」を角行の動きとするのが通説であるが、私は2目目に飛び越して行けることを表していると思う。
角行の動きはトラブルが起きやすく、チェスも市松模様の盤ができてから登場する。シャンチー・チャンギ・マックルックには斜め四方に走る駒はないと思います。

②横行については、平安大将棋では後ろに下がれないが、中将棋では一マス下がれる。

私は、平安大将棋でも前後に動けたと思いますが、これについては自信がありません。

③鉄将についても、平安大将棋では周囲8マスの内、5箇所に行けることになっており、銅将の前後左右4箇所を上回っている。現行大将棋に至って、金将・銀将・銅将・鉄将・石将の序列が出来、それぞれ6・5・4・3・2箇所に行けるように整理されたと考えられる(銅将の動き方は変化している。)。

「銅将不行四隅」「鐡将不行後三方」がもとになっているが、私は象戯六種之図式等の記載が正しいと思う。駒の動きは覚えやすいことが必要で、玉金銀銅鐵の序列にしたがっていない動きであった必然性がない。将類は前方3方向への移動は当然で、残りの方向について、銅将は真下以外の4方向に動けないことを表し、鐵将は残りすべての方向に動けないことを表していると思う。

No title

コメントありがとうございました。二中歴の記述については、写し違い等の可能性もあり、問題はあります。ただ、文献としての価値はあるので、それ以外の主張をする場合には、何らかの根拠が必要だろうと思います。現在あまりやられていない一つの可能性は、実際にさしてみてゲームとしての面白さから理論づけることだろうと私は考えております。歴史を考えられる方は、ほとんど実戦を指しておられないというのが私の印象です。一度、中将棋大会にでも参加されませんか。

お誘いありがとうございます

二中歴の大将棋の記述を安易に否定するのは問題であることは確かです。私は、後代のより正確な記録を遡及させることで、整合性を考えることができると思います。
また実戦に一度、参加させていただけたらと思っていますが、棋力があまりにも低いことと、体力の問題で100手を越える対局は困難です。
各種大会について、見学だけというのは許されないのでしょうか?

No title

見学だけでも歓迎します。東京の大会なら、岡野伸さんも参加されることがあるので、議論が弾むと思いますが、2015年正月までありません。来年の国際頭脳スポーツフェスティバル(横浜予定)なら可能性があるかもしれません。関西・東京なら、ほぼ毎月対局会がありますし、福岡や広島でも少しですが開催されています。
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少しずつ更新させていただく予定です。
よろしくお願いいたします。

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