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中将棋の動物駒から連想されるゲームのルーツについて    小俣光夫   (2013年1月14日)

中将棋には動物の名が付けられている駒が多い。あえて英語で表記してみると、次のような駒がある。
elephant(象)、lion(獅子)、tiger(虎)、dragon(竜)、leopard(豹)、horse(馬)、giraffe(麒麟)、phoenix(鳳凰)、whale(鯨)、bull(牛)、wild boar(猪)、deer(鹿)、eagle(鷲)、hawk(鷹)。
とくに、elephant、lion は南方の動物であり、威力を有するので古代では戦闘の武器として利用されていた。

中将棋のルーツはどこか? 日本ではみられない動物の名のついた駒のあるゲームであるからアジア南方からもたらされたと考えるべきであろう。
現行の将棋(小将棋とも言われる)の伝来は北方経由からかそれとも南方経由からかは論議のあるところでまだ結論はでていない。 

他方、世界にはチェスをはじめとする各種の将棋が存在する。中国の将棋であるシャンチー(象棋)には象の文字が使われている。象は南方の動物であるから、このゲームのルーツは象の生息していた地域から生まれてきたと考えられる。しかし、中国の漢字の象は「象る:カタドル」の」意味であり、elephant ではないとする説もある。中国独自のゲームであると主張したいためと思われる。だが象の文字をよく見るとあきらかにelephantの姿を抽象化したものであるし、中国語の「大象」はelephantであり、陸上動物の最大が象であることを示しているので、シャンチーはelephantに深く関係しているゲームであるとみなされる。

かってelephantやlionが戦力となっていたことは疑えない。タイとミヤンマーとでは古代から戦争が絶え間なかった。ミヤンマー(ビルマ)の方の勝利が多いとされている。戦闘の場では象部隊が主力となって活躍する。ミヤンマーのある寺院に兵士を乗せた象が戦ってる壁画をみたことがある。

lionも戦闘の場には威力を発揮したらしい。lionが戦場で吼えると象も馬もおびえるので効果はあったと思われる。中将棋の序盤に獅子が前線に跳び出すと、小駒は居食いや付け食いの対象とされてしまうので、小駒のみでは獅子に太刀打ちできない状況は古代の戦闘に獅子が使われた状況に似ているのかもしれない。百獣の王といわれているのがうなづける。

インドが発祥の地であるされるチャトランには王(キング)を囲み司令官(あるいは副官)、象部隊、騎士隊、戦車隊(あるいは船)、そして歩兵隊がならんでいる。チャトランが現在のチェス、シャンチー、日本将棋のルーツであろうという説は有力である。
戦争(戦闘)を模し、各種の性能の異なる駒がある二人対戦ゲームであり、王(将軍)を捕らえて方が勝者とすることは共通する。

アジアの北方で将棋類が生まれたとは考えにくい。現行の日本将棋(小将棋とも呼ばれる)には動物の駒が少なく、竜王、竜馬、桂馬くらいであり、中将棋に比較すると格段に少ない。仏教に関係する用語が多いとの説がある。玉は仏舎利を入れる容器の材質であり、金銀は仏具や仏像に使われ、桂は仏前に供える草木であり、香はまさしく香料である。飛車と角行は仏具とは縁遠いが、あとから加えられた駒であるといわれている。平安時代の小将棋にはなかったらしい。仏具に関連するからといって小将棋が南方経由で伝来したとも断定はできない。 同様に中将棋も南方経由で日本に伝来したともいいきれない、今後の調査研究の成果を期待したい。

チャトランが将棋類の共通ルーツとすれば、チェスと中将棋との類似点もいろいろあると考えられる。たとえば、捕った駒は使えない、各種の相互の駒に同じような動きの駒の存在や12x12マスのチェス盤など、チェスの歴史を調べることによって中将棋との関連がもっと見出せることであろう。
<参考文献>
 世界の将棋~古代から現代まで~ 梅林勳  将棋天国社 1997年
 将棋 <ものと人間の文化史> 増川宏一  法政大学出版部 1977年
          
<投稿者略歴>
 小俣光夫   1937年生  東京練馬区在住
        中将棋連盟東京支部長
        遊戯史学会理事
        NPO盤友引力会長
        日本チェッカー・ドラフツ協会会長
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