この内容は、ギャンブリング&ゲーミング学会誌第2号(2005.9)に発表したものに基づいているが、一部修正を加えた。
10、中将棋の起源モデル
以上述べてきたことをまとめて、モデル化したのが図である。東南アジアに由来するマークルック系の将棋(8X8、八方桂)が渡来して、大型化して原中将棋(仮称、10X10あるいは12X12、酔象・猛豹)になり、中将棋(12X12、獅子)に進化したという系統である。この系統では、異なった駒の成駒はすべて異なるという方式が取られていた。これとは別に、おそらく中国に由来する平安将棋(9X9)が先に渡来し、大型化の道を辿っていた。平安大将棋(13X13)は、その大型化の一例であろう。こちらの系統では、小駒はすべての種類で金将に成っていた。
中将棋系統の偶数路盤将棋の大型化も、平安将棋の大型化の影響を受けたとも考えられる。大型化に伴い、駒の種類を増やすために他の系統から適当な駒を導入することが行なわれ、多くの試行錯誤が行われてきたのであろう。中将棋成立後、最終的に、中将棋を取り入れた奇数路盤の大型将棋を作成したのが、現行大将棋だと考えている。